七福神(しちふくじん)

 インド・中国・日本の神仙を七人組み合わせて、人々に福・徳・寿を与える神として崇められる民族信仰の対象。室町末期に成立し、多少内容の違いはあるが、仏教の影響があったことが知られる。
 大黒天は変形されて用いられ、恵比寿は中世西ノ宮信仰から福神となり、仏教の守護神であった毘沙門天は施福の神と解釈され、本来インドのヴェーダ時代の河川の女神で、後にことばの女神と同一視され、その後日本に移入された芸術の神弁才天は財宝・芸術の神弁財天と改められ、福禄寿と寿老人はもとは同じ南極星の神格であったが、寿命の長いのにあやかる意味をもつ。布袋和尚は実在人物であるが、その福徳円満な風貌のゆえに加えられたとも考えられる。
 『書言字考節用集』によると、かつて天海僧正は、徳川家康に、天下泰平の基として七福神のおのおのの徳を示した。恵比寿は律儀、大黒は有福、毘沙門は威光、弁才天は愛嬌、布袋は大量、福禄寿は人望、寿老人は寿命を与える。

出典:中村 元(なかむら はじめ)『佛教語大辞典』東京書籍